"問いの力"で、デイリースクラムをイキイキとさせよう!
はじめに
初心者スクラムマスターのためのワンポイントアドバイスシリーズ、今回はデイリースクラムについて取り上げます。
デイリースクラムとは開発メンバーのための毎日15分のイベントです。朝会と呼ばれている現場も多いですが、必ずしも朝に実施する必要はありません。そして、デイリースクラムの目的は「スプリントゴールを達成するためにうまく進んでいるかを確認し、再計画する」ことです。
開発チームはデイリースクラムを使って、スプリントゴールとスプリントバックログの進捗を検査する。デイリースクラムは、開発チームがスプリントゴールを達成する可能性を最適化する。
※スクラムガイドより
ですが実際は、スクラムを始めたての開発チームのデイリースクラムは、
「昨日これこれをやりました」
「今日はこれをやります」
「以上、よろしくお願いします」
とただ単に自分の進捗報告して終わり、となりがちです。
今回はデイリースクラムの本来の目的を達成できるよう、"問い"の工夫を中心に明日から出来るアイディアをご説明していきます。
1. 昨日やったこと
すでに終わったことを説明するのは無意味だと「昨日やったことの報告」をやめたチームがありました。
確かに終わったタスクの詳細をくどくど説明するのはナンセンス。ですが、少なくとも「昨日終わらせようとしたことが終わったのか」という説明は必要です。
なぜなら、終わらなかった場合そこにゴール達成を阻害するチームの問題がある可能性が高いからです。
上記を引き出すために、以下のような質問が効果的でしょう。
- 昨日は順調でしたか?
- 昨日は定時に帰れましたか?
- 昨日終わらせようとしたことが終わりましたか?
2. 今日やること
今日やることの説明として、次に取り掛かるタスクのみを報告するチームがあります。
しかし、その説明だけでメンバーが今日1日何をするかイメージできるでしょうか?
そのタスクだけで1日終わるのか、そのタスクをすぐに終わらせて次のタスクをするのか、この説明だけではわかりません。
もちろん、今日一日厳密にどれとどのタスクをやる、という説明はやりすぎです。ですが、少なくとも「今日1日の流れやゴール」がわかるような説明を心がけてもらいましょう。
なぜなら、1. と同様メンバーが1日の流れやゴールがうまく説明できない場合、そこにゴール達成を阻害するチームの問題がある可能性が高いからです。
上記を引き出すために、以下のような質問が効果的でしょう。
- そのタスクが終わったら次に何をしますか?
- 今日1日はどのように仕事をするか、イメージを教えてください?
- 今日のゴールは何ですか?
3. 問題
いつでもSlackで聞くことができるからと、デイリースクラムでの問題共有を省略したチームがありました。
しかし、問題を素直に言えるメンバーだけではありません。また、問題が大きくなればなるほど言いづらくなるのが人情です。
そこで、デイリースクラムでは全員が抱えている問題を聞く機会を積極的に作りましょう。
しかし、ストレートに「問題を報告して」と聞くと責められたと感じ逆に問題が隠される場合があるので、未成熟なチームや大人しいメンバーには、
- 困っていることはありませんか?
- 不安や、心配なことはありませんか?
と問いかけると効果的でしょう。
また、デイリースクラムがあまりに速く終わったり、慣れてきて若干気の緩みが感じられるチームには、
- 今日のタスクは本当に終わりますか?
- スプリントゴールを100%達成すると言い切れますか?
と問いかけると効果的です。
おわりに
今回はデイリースクラムの本来の目的を達成させるための質問例を解説してきました。デイリースクラムは15分の短いイベントですが、質問を少し工夫するだけで驚く程イキイキすることを体感できるでしょう。
もちろん、ここに挙げた質問例はごくごく一部です。皆さんもチームの状況に応じて、様々な質問を考えてみてください!
今回は以上です。 次回をお楽しみに!