スクラムからカンバンに移行したい時に読むブログ(後編:スクラムからカンバンの移行を考える)
はじめに
「スクラムが自分達の状況に適していないため、スクラムからカンバンに移行したい」という方への支援をテーマにしたブログの後編です。
前編では、誤解されがちなカンバンへの誤解を解いてきました。
後編では、前編の内容を踏まえ、スクラムからカンバンに移行したい方がよく挙げる状況をいくつか取り上げ、その際の判断のポイントと注意点を述べていきます。
状況
- 施策を次々にリリースすべきプロダクトの成長期を迎えている
- チームは計画やふりかえりなどがジャストインタイムで実施できている
- 計画外の要求やタスクが多い
1. 施策を次々にリリースすべきプロダクトの成長期を迎えている
プロダクトが成長期に入り、施策を次々にリリースすべきフェーズを迎えると、スプリントというタイムボックスが足枷に感じるタイミングがあります。
もちろんスクラムでもスプリント中に何度もリリースできますが、「スプリントに囚われず、より柔軟により迅速にリリースしたい」というわけです。
スクラムからカンバンに重心を移すべきタイミングの一つと言えるでしょう。
この場合の注意点は、「チームが近視眼的になり、プロダクトの全体感を失いがち」です。
経験上、カンバンは、チームを目の前のワークフローに強力に集中させますが、カンバンボードの外に目を向けづらくさせる副作用があると感じます。
チームメンバーが視野狭窄になり、目の前の施策やドメインに集中しすぎることは部分最適化やモチベーションの減退などの様々な弊害につながります。
上記を防ぐため、プロダクトのビジョンや戦略などの全体像を、継続的にチームメンバーと共有または共作する機会を作ると良いでしょう。
2. チームは計画やふりかえりなどがジャストインタイムで実施できている
こちらはいわゆる「守破離」の「守」を脱し、「破」の段階に差し掛かっている成熟したチームで多く見られます。
こちらもスクラムからカンバンに移行するタイミングの一つと言えるでしょう。
この場合の注意点は「スクラムの様々なメリット、とりわけタイムボックスのメリットが享受できなくなる」という点です。
スクラムにおけるタイムボックスはチームに集中や協調、リズム感の促進、または、メンバーが一休みするタイミングの提供などの様々なメリットを与えてくれます。
スクラムを止めてカンバンに移行しても、何らかの形のタイムボックスをどこかに設定すると良いでしょう。
3. 計画外の要求やタスクが多い
計画外の要求やタスクが多い環境では、一旦スクラムから離れ、カンバンに移行してみるのも良い選択肢でしょう。
この場合に実施すべきは、計画外の要求やタスクが発生する理由や頻度に注目することです。
カンバンの導入は上記を明確化する助けになるでしょう。
カンバンである程度理由や頻度が「見える化」されたら、改善していきましょう。
以下のような理由の場合、改善させることで、スクラムを再導入できないか検討しましょう。
- プロダクトバックログや要求が一元化されていない
- プロダクトの品質が低い
- 開発者のスキル不足
まとめ
ブログでは前後編に分け、「スクラムが自分達の状況に適していないため、スクラムからカンバンに移行したい」というテーマでお伝えしてきました。
まとめると、スクラムからカンバンに移行したい場合にオススメしたいアクションは以下の通りです。
1. チームメンバーでカンバンの認識を共有する
まずは、認識があやふやになりがちなカンバンについて、メンバー間で認識を共有しましょう。
認識を共有するのに、最近翻訳されたカンバンガイドはうってつけです。
2. スクラムを維持したままカンバンを導入できないかを検討する
前編で触れた通り、スクラムとカンバンは完全に両立可能だけではなく、お互いを補完するための最高の補強剤と言えます。
そのため、スクラムを維持したままカンバンを取り入れられないか※を検討しましょう。
多くの場合、スクラムを手放す必要はありません。
※こちらは、 Scrumban を採用する意味ではありませんが、Scrumbanも選択肢の一つになるかもしれません。
3. スクラムからカンバンに移行する
1、2を踏まえて、スクラムからカンバンに移行すべきタイミングと見極めたら、カンバンに移行しましょう。
カンバンを導入して、何が起こるかを観察して、改善していきましょう。
以上です。
スクラムからカンバンに移行を検討している方やカンバンの導入を検討している方にお役に立てれば幸いです。
また、カンバンの導入にお悩みの場合や、より効果的な導入を目指す場合は、是非、Graatにご相談ください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!!