エンタープライズアジャイルを阻む組織やプロセスと、その処方
2022年11月24日に実施したエンタープライズアジャイル勉強会2022年11月セミナーにおける講演「エンタープライズアジャイルを阻む組織やプロセスと、その処方」についての講演記録です。資料は以下から確認ください。
エンタープライズアジャイル勉強会は、ユーザー企業、システム開発企業などが参加し、エンタープライズアジャイルについて相互の意見交換を行う場です。弊社では代表の鈴木が幹事として参加しており、毎年発表をさせていただいています。
本年は、改めて「エンタープライズアジャイル」というものへの取り組み姿勢について紹介をしました。現状、DX(デジタルトランスフォーメーション)の文脈では、アジャイルを始め、クラウド、DevOpsといったキーワードが注目されています。
アジャイルは定期的に計画と実行を繰り返しながら、タイムリーにやるべきことを決め、なるべく早く実現するというプロセスになります。ウォーターフォールでは、どうしても計画と実行の時間が長く、やるべきことをタイムリーに実施することが困難になります。
一方で、エンタープライズと呼ばれる日本の大企業ではアジャイルを導入する場合に障害が少なくありません。弊社では、これを示す用語としてエンタープライズアジャイルを以下のように定義しています。
- 既存でウォーターフォール開発を行なっている企業において導入されるアジャイル開発
- 既存の組織やプロセスはWFに最適化されおり、アジャイルの実施にあたって齟齬がある状態
一般的にはアジャイルを成功させる要素として現場への権限移譲、顧客視点での横断チームなどが言われています。しかし、大企業では簡単なことではありません。なぜなら、市場や社会から適度な統制が求められているからです。
では、どうすべきか。結論からいえばエンタープライズアジャイルの成功に必要なのは「現在のルールの中で、なんとかやりくりするしかない」ということです。
身も蓋もない結論ですが、実際にエンタープライズアジャイルで成果を生み出している企業は、さまざまな取り組みを行っています。
昨年のエンタープライズアジャイル勉強会では、三越伊勢丹の方をお招きし、百貨店の中でアジャイルがどういったメリットがあったのかについて語っていただきました。
三越伊勢丹がアジャイルで進めた「現場と一緒につくるサービス開発」
現場と一緒に作っていくほうが、はるかに効率的 これまでは現場にヒヤリングをして、数ヶ月経って「システムが完成しました。使ってください」という進め方<中略>正直、現場に行くのが怖い 現場で試してもらって、そこで出た意見をもらいながらブラッシュアップをしていく<中略>現場に行くのも怖くなりました(笑)。
(役員とは)以前は数ヶ月に1度の報告会だったものを、毎週の会議で会話 開発を進めていくと方向性が変わることもよくあるのですが、その理由には成功も失敗もある <中略>状況をありのままに報告して次につなげる
また、今回は大成建設の方をお招きし、どのようにアジャイルを成功させたか、どんなマインドチェンジが必要であったかを語っていただきました。こちらは後ほどブログを公開します!
デジタル社会の実現には日本企業の転換が必須になっており、そのためにはアジャイルの導入は重要な要素になります。そこでは、もちろん既存の組織やプロセスや阻害要因となりますが、それを言い訳にしていても始まりません。Graatは、こうしたコミュニティ活動なども含め、エンタープライズアジャイルに調整する企業を応援します!