資料公開:エンタープライズDXセミナー「DX人材育成 ― サービスデザインで実現する『巻き込み力』の育て方」
2025年10月6日(月)、オンラインにて
「DX人材育成-サービスデザインで実現する『巻き込み力』の育て方」 を開催しました。
ご参加いただいた皆さまには、貴重なお時間を割いてご聴講いただき、誠にありがとうございました。
本記事では、当日の講演スライド資料を公開するとともに、 セッションで取り上げた主要テーマや実践事例の一部をダイジェストでご紹介します。
DX人材育成の鍵は「巻き込み力」 —— サービスデザインが生み出す合意形成の仕組み
DX推進の現場では、技術やツールだけでは越えられない「人の壁」に直面することが少なくありません。Graatが提唱する「サービスデザイン」は、この壁を乗り越えるための実践的なアプローチです。
立場の異なる関係者を同じ目的に向けて動かす“巻き込み力”を、再現性のあるプロセスとして育てることで、組織全体のDXを現実的に進めていきます。
組織を止める「構造的無能化」とは
企業が長く存続する中で、業務や部署が細分化され、全体像を見渡せなくなることがあります。
経営学者の宇田川元一氏は著書『企業変革のジレンマ』で、この現象を 「構造的無能化」 と呼びました。
個人の努力や意欲とは無関係に、組織構造そのものが変革を阻む状態を指します。
こうした状況を乗り越えるには、構造を理解し、どこで何が起きているのかを全員で共有することが欠かせません。
共通言語としてのサービスデザイン
DXを推進するには、経営層・顧客・開発チーム・関係部署という4方向の理解と協力が求められます。しかし、それぞれが異なる前提や言葉で話していては、議論はかみ合いません。
サービスデザインは、関係者全員が同じ構造を共有しながら議論を進められる「共通言語」として機能します。
代表的なツールは次の3つです。
- エピック: プロジェクト全体の目的を物語として共有する
- サービスブループリント: サービスの表と裏を可視化し、課題を構造的に把握する
- ユーザーストーリー: ユーザー視点での体験を短く言語化する
これらを活用することで、感覚的な議論を脱し、合意形成のプロセスを再現可能な形で進めることができます。
学びを組織に根づかせる「三層アプローチ」
Graatが推進する「三層アプローチ」は、DXを一部のリーダーに任せるのではなく、 組織全体に広げていく仕組みです。マネージャー、実践チーム、関係部署の三層が それぞれの立場で学び、共通の理解を持つことで、変革が持続的に進みます。
- マネージャー層: 活動の意義を理解し、支援できるようになる
- 実践チーム層: 課題を構造的に整理し、改善策を自ら導き出す
- 関係部署層: 目的を正しく理解し、協力体制を築く
この三層が共通の言語で対話できるようになると、DXは“プロジェクト”から“文化”へと定着していきます。
実践事例:異なる組織で見えた成功の共通点
ある企業グループでは、複雑化した業務をサービスデザインで可視化し、課題の因果関係を整理しました。 その結果、部署間の連携が円滑になり、DX推進のボトルネックを解消する道筋が明確になりました。
一方、別の企業では、半年間の育成プログラムを通じて若手中心のチームが構造的思考を身につけ、
経営層への提案を自らプレゼンできるまでに成長しました。
組織全体で「自分たちの手でDXを進める」意識が芽生え、部署を越えた協働が生まれています。
Q&A:現場の課題と新たな可能性
講演では、「ウォーターフォール文化が強い企業では何が壁になるのか」という質問が寄せられました。
最大の壁は「何を作るか」に偏り、「なぜ作るのか」が置き去りになること。
要件定義を“目的定義”として捉え直すことが、DX成功の第一歩です。
また、「ユーザーストーリーをどうすればユーザー視点で書けるか」という課題に対して、
Graatでは生成AIを活用したレビューを推奨しています。
AIにチェックを任せることで、若手が気軽に学びを深められ、チーム全体の理解が高まります。  
DXは技術の話ではなく「人と仕組みの話」です。
サービスデザインを通じて巻き込み力を育て、合意形成を再現可能な仕組みに変えていく—— そこに、変化を継続できる組織づくりのヒントがあります。
関連リンク:
エンタープライズDXセミナー:DX人材育成-サービスデザインで実現する「巻き込み力」の育て方 開催のお知らせ
https://www.graat.co.jp/blogs/cmfg5l3ua55be071bb4f5p8hy
事例紹介
アジャイル開発を成功させる鍵はサービスデザイン。 DXを支える価値からシステムに落とし込む設計力
https://www.graat.co.jp/case-study/kwc
創業約350年、三越伊勢丹が培った資産がデジタル化されて新たな可能性を生んだ。 その裏には、Graatによる組織変革があった
https://www.graat.co.jp/case-study/imdl
システムのモダナイズで「IT」が経営の真ん中に。Graatの伴走型サポートが、DXを新たな段階へと推進
https://www.graat.co.jp/case-study/ims-sol

