DXプラットフォームの アーキテクチャ設計
DXを実現するためにはシステム開発における試行錯誤が必要になります。DXの基盤となるプラットフォームを構築し、その上で市場からのフィードバックを反映させながら徐々にプロダクトを成長させていく必要があります。 Graatでは現状分析を踏まえながらビジネスとITの関係を整理し、ビジネスの成長を支えるプラットフォームのアーキテクチャ設計が可能です
1873年の創業以来、日本の近代化、戦後の復興、経済成長、グローバル化など、さまざまな社会の変化に対応しながら「地図に残る仕事。」を手掛けてきた総合建設会社。“人がいきいきとする環境を創造する”というグループ理念のもと、近年では『杜のスタジアム』(国立競技場)や熊本復興のシンボル・新阿蘇大橋の建設を手がけている。
鈴木 雄介(Graat):まずは、改めて自己紹介をお願いいたします。
田辺 要平(大成建設):2000年ごろから建設業向けのシステム開発に携わってきました。今回のプロジェクトでは全体を統括しています。
松田 豊道(大成情報システム):私は大成建設社内のICTを担う子会社・大成情報システムに所属しており、今回のプロジェクトでは管理者を任されています。
鈴木:まず、今回のプロジェクトはどういうきっかけで始まったのでしょうか?
田辺:対象は建設現場を管理するシステム群です。既存システムは構築から時間も経ち、再構築の必要性がありました。ただ、我々だけで考えると現行システムのイメージを引きずってしまうので、外部の専門家も交えて「より汎用的で未来に通用するプラットフォームを開発する」というビジョンを固めました。その上で、アーキテクチャ設計ができる会社を探していたところ、Graatさんを紹介してもらいました。
松田:ビジョンを固めていく中で、この構想を実現するには今までに取り組んでいない技術を取り入れる必要があると感じました。そのためにも技術力がある企業を求めていたんです。
鈴木:最初にお聞きしたときは「これは壮大な構想だな」と思いました。認証認可やデータ管理を基盤として提供し、数十あるシステムを順次移行していく。まさにDXプラットフォームの設計です。
鈴木:なるほど。今回はプラットフォームを設計するというアプローチでした。個別システムの設計とは違うものでしたが、いかがでしたか?
田辺:そもそも、これからの企業システムにはプラットフォーム思想が必須です。デジタル化によって業務はどんどん変わっていくので、そのたびにゼロからシステム開発していたら追いつきません。コアとなるセキュリティやデータの管理をプラットフォームとして括り出し、必要な部分を作るなり、SaaSを使うなりしていくのは自然な考え方だと思います。鈴木さんは、この考え方を完璧に理解し具体化してくれました。
鈴木:プラットフォームで重要なのは業務やシステムの全体観をもつことです。横断的に必要となる機能を抽出し、それらが個別システムがどう使っていくのかを考える必要があります。分析フェーズでは業務を土台にしながら、システムが何をすべきかを整理していきました。この作業に大成建設のみなさんが積極的に参加していただけたので、非常に進めやすかったです。
田辺:今回のプラットフォームは大成建設の広範囲な業務を対象にするため、我々もきちんと仕組みを理解する必要があります。鈴木さんは新しい技術の可能性を我々の業務を例にしながら示唆してくれるので、どう活用すべきか、ということが考えやすかったです。
鈴木:実は多くの企業で、こうした業務とITをリンクさせられる人材が不足しています。なぜ、大成建設さんでは可能だったのでしょう?
田辺:大成建設では1998年に『G-Net』という電子調達システムを構築しました。調達というのは利益の根幹を担う業務ですが、そこにITを導入したことで、システムによるデータ共有が大きな効果を生むことを全社で体感しました。Amazonがアメリカで書籍のオンライン販売を始めたのが1995年ですから、この時代にITでの成功体験をこれほど強烈に得た日本企業はさほど多くないはずです。これ以降、業務を効率化させるためには、どうITを使うのか?というのを重視しています。
鈴木:今回は技術的な部分でもチャレンジをしてもらいました。Microsoft社のAzureを採用した上で、VMを使わずに全てマネージドサービスで構成しました。
松田:鈴木さんは技術そのものの説明というより、ユーザー目線での保守性やセキュリティのメリットを伝えてくれました。これまでに経験がない技術ばかりでしたが、やる価値があるなと感じさせてくれました。
田辺:とはいえ、最初に説明された時は半分も意味がわかっていなかったと思います。ただ、こうしてシステムが出来上がってくるとマネージドサービスを使っていてよかったですね。コストも圧倒的に安くなったうえで、さらに保守も楽になります。これを使わない手はないですね。
鈴木:内製化にも取り組まれましたね。
松田:はい、もちろん外部の専門家の力を借りてはいますが、Azureまわりの整備に若手社員を割り当てています。その結果、インフラの構成変更や性能対応など、さまざまなことが開発チーム側で管理できるようになり、スピード感が増しました。彼自身にとっても良い経験になっていると思います。
田辺:ちょうどコロナ禍なりプロジェクトがフルリモートになりましたが、まったく問題ありませんでした。鈴木さんに直接お会いしたことのない弊社メンバーも多いですよね。プロジェクトがうまくいくためには空気感をどこまで共有できるかが大事ですが、オンラインでも十分、雰囲気を共有できているなと感じています。
鈴木:私としてもこのプロジェクトはやりやすかったですね。フラットに議論ができる関係だったと思います。私の質問や疑問にも真摯に答えていただきましたし、こちらの提案についても何度もシミュレーションをしてもらうことで内容が深まりました。
田辺:もしも今回、大成建設が、Graatさんにアーキテクチャ設計を依頼することなく、いきなりシステム開発会社に発注していたら、違うことになっていたと思います。しっかりとしたアーキテクチャ設計があるからこそ、構築をするシステム開発会社も具体的に何をすべきか明確につかめたんです。その狭間を埋めるフェーズはとても大切。かつ、ここまで根気よく、かつ惜しみなく提案をしてくれる会社ってほかにはないなと今回改めて感じました。
鈴木:最後に、今後のGraatへの期待をお聞かせいただけますか?
田辺:鈴木さんの素晴らしいセンスでアーキテクチャ設計をしていただいたので、今後もこのプラットフォームを一緒に成長させていきたいですし、マイクロサービスの成長もお手伝いしていただければと思っています。
松田:今回は鈴木さんが“道”を提案してくださったおかげでプロジェクトの“輪”がつながり、私共もスキルアップできました。ほかのプロジェクトでもご一緒したらどんなことが起きるのか楽しみにしています。
鈴木:拡張性のあるプラットフォームができたと思うので、プラットフォームの成長だけではなく、上にのるサービスの進化も、非常に楽しみです。すでにプラットフォームという”街の基盤”はできているので、古い建物を取り壊しながら、きれいに並べ直していく作業を今後もご一緒できればうれしいですね。
DXを実現するためにはシステム開発における試行錯誤が必要になります。DXの基盤となるプラットフォームを構築し、その上で市場からのフィードバックを反映させながら徐々にプロダクトを成長させていく必要があります。 Graatでは現状分析を踏まえながらビジネスとITの関係を整理し、ビジネスの成長を支えるプラットフォームのアーキテクチャ設計が可能です
事業環境の変化に対応できる柔軟なシステム構成を実現するためにはDevOpsによって開発チームがインフラから運用までを管理していくことが必要になります。 GraatはパブリッククラウドのPaaS環境を最大限活用し、IaC(Infrastructure as Code)やCI/CD(Continuous Integration/ContinuousDelivery)を実現する内製化DevOpsを可能にします。