うまく行くふりかえりは最初の5分で決まる!〜チェックインのススメ〜
こんにちは、アジャイルコーチの斎藤です。
ふりかえりに関するよくあるスクラムマスターの悩みとして、
- メンバーが発言せず、お通夜状態になっている
- 発言する人としない人が偏る
ということがよく挙げられます。
今回は、この悩みをとりあげましょう。
最初の5分がふりかえりを決める!?
さて、これまでスクラムマスターやアジャイルコーチとして様々なスクラムイベントに立ち合ってきましたが、最近はイベントがうまくいくかどうかが、開始5分である程度わかるようになってきました。
もちろん超能力が身についたからではなく、とりわけ下記がメンバーの発言量から成果までを、かなりの割合で決めてしまうことに気づいたからです。
- チェックイン等の場作りをしているか
そして、スクラムイベントの中でもふりかえりは特に参加者に自主性や意欲が求められます。
そのため、ふりかえりでは本題に入る前にチェックインをして参加者全員に話をしてもらい、参加者のモチベーション向上や話しやすい空気を作るのがとても重要になります。
というわけで、ふりかえりでメンバーが発言しないとお悩みのスクラムマスターにはまず、開始5分にチェックインを導入し、参加者全員に話をしてもらうことをオススメしています。
チェックインのやり方
さて、これまではふりかえりにおけるチェックインの重要性について語ってきましたが、ここからは私が普段利用しているチェックインの方法を4つご紹介します。
1. Good & New
最近良かったことや気づいたことを各自が共有する方法です。
前向きな議論を引き出すことが狙いですが、最近ではチームが成熟してきたら"Good & Bad"としてあえて愚痴を吐き出してもらいリラックスした雰囲気を引き出すこともやります。
2. ファイブフィンガー
以下のような質問に、各自が5本指を使って1から5までの採点をしてもらう方法です。
- 今の気分は?
- 先週のあなたの貢献度は?
- 前回のスプリントを5点満点で採点すると?
時間が掛からないことがメリットですが、「前回のスプリントを5点満点で採点すると?」と訊いて全員が1や2を出して場が凍りついた経験があるため、質問とタイミングにはご注意を。
3. DPA(Design the Partnership Alliance)
以下のような質問に各自で答えてもらい、イベントのルールを決める方法です。
- この場をどんな場にしたいか
- そのためにどんな貢献ができるか
参加者のモチベーションが上がるため、よく利用するアクティビティです。
最近あるスクラムイベントで新人がファシリテーターを担当することになったため、「新人ファシリテーターを助けるために自分等ができること」をテーマにイベントのルールを議論してイベントを始めた結果、とても活発なイベントになりました。
4. 雑談
本題に入る前に雑談するだけです。ただそれだけですが効果は絶大です。
趣味や「もしもお金が無限にあったら何がしたい?」などのメンバーが普段知らない一面を引き出す質問をすると、その後のイベントが盛り上がりやすいです。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
今回は、ふりかえりが盛り上がらない理由とアドバイスについて語ってきました。
もちろん、チェックインはふりかえりに限らず、他のスクラムイベントや会議でも使える方法ですので、「参加者が発言しない、盛り上がらない」イベントやミーティングにもぜひ導入してみてください。
「ふりかえり改善ワークショップ - 効果的なTryを出せるようになるには」セミナー開催のお知らせ
さて、来週の5月29日(金)の14:00 〜 16:30、弊社主催のエンタープライズ・アジャイル実践セミナー「ふりかえり改善ワークショップ - 効果的なTryを出せるようになるには」をオンラインで開催します。
今回はふりかえりの前段階のチェックインについて語ってきましたが、より効果的なふりかえりをするためのヒントがたくさん得られると思うため、ふりかえりの運営で悩んでいる方はこの機会にぜひご参加ください!
【オンライン開催】ふりかえり改善ワークショップ - 効果的なTryを出せるようになるには
https://graat-agile.connpass.com/event/176553/
参考文献
- EstherDerby, DianaLarsen(2007)『アジャイルレトロスペクティブズ 強いチームを育てる「ふりかえり」の手引き』オーム社.
- 森一樹(2019)『ふりかえり読本 場作り編~ふりかえるその前に』ふりかえり実践会.